管理番号43
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最終更新日2020年8月12日
小説
3
レプリカたちの夜
一條次郎
新潮ミステリー大賞を受賞したミステリーというよりミステリアスな大作。
一体どうしてこんなお話が出来たのか、ファンタジーでもありSFでもあり、そういったジャンルをすべて綯交ぜにしたような世界観。動物のレプリカ工場に努める主人公が絶滅したはずの生きたシロクマを目撃したところから物語が始まるのだが、まるでオーケストラを聴いているかのような盛り上げ方で不協和音も和音のひとつだと言わんばかりに進行していく。巻末にある膨大な参考文献リスト、科学・哲学・音楽に漫画、ジャンルもテーマもバラバラの何でもありの知識を作家というフィルターを通して、まったく新しい「知」を想像したまさにそのパターン。何があっても、何をやっても、それが現実的に或いは論理的に正しいかどうかなんて大した問題ではないのだ。
内容を理解するには別の知識が必要か
この不条理さをただただ楽しめるかどうかで、予備知識は必要ない。
読み易さについて
物語を壊す、というやり方に多少の難解さは感じるかもしれない。
誰にでもお薦めできる内容か
正直なところ万人受けするかどうかというのはこの作品には大して意味がない気がする。とにかく奇妙なのだ。その奇妙さに触れたい、現実と非現実の区別など意味がないと踏んでいる読み手には間違いなく刺さる一冊。
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最終更新日2020年11月9日
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