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最終更新日2020年8月12日
漫画
13
魔女
五十嵐大介
この世界のあらゆる場所で、地球規模のあるいは宇宙全体の摂理として語ることの出来ない、大いなるものとの繋がりを紐解く魔女の存在、人間と自然といったほとんどの作品にある共通のテーマの原初のような物語6編。全2巻。
曖昧な描線にピントの合っていないような不安定な描写、かと思えば目を疑うほどの緻密さで描き込まれた得体の知れない造形と表現。波も雲も雨粒も、もっとミクロな細胞の世界でさえ、取り憑かれたような描き方を堪能できる。勿論単純な物語ではないのだが分かりにくさや難しさは感じられないだろう。逆に確固とした思想によって「これは伝えなければならない」というような作家の使命のようなものをほとんどストレートに受け取れる点で素直に「傑作」だと言えるのだと思う。
この作家について「BSマンガ夜話」では他の追随を許さないユニークさでほとんど稀代のアーティストのように大絶賛されたが、続く「漫勉」ではまるで職人のような佇まいで一人机に向かい、ただひたすらペンを走らせている姿が印象的だった。この時「女の子はとにかく可愛く書かないとダメなんです」という言葉も妙に印象的に残っているのだが、なんだかこのギャップもまた職人らしさに拍車を掛けてしまうような、そんな印象を持っている。
内容を理解するには別の知識が必要か
特になし。
読み易さについて
例えば漫画版「風の谷のナウシカ」のような、フリーハンドの描線で描かれており、メジャーな漫画的表現とは一線を画している。この点について読みにくさを感じる人はいるかもしれない。物語自体は上記の通りストレートな内容で違和感なく読み進めることが出来ると思う。
誰にでもお薦めできる内容か
多少なりとも作家の持つ思想に触れてみたいという方には最適。そうではなくエンタメ作品として楽しみたいという方にはなかなか手強いかもしれない。
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最終更新日2020年11月9日
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