管理番号250
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最終更新日2020年8月12日
小説
14
ネバーランド
恩田陸
冬休みを迎えた男子校の学生寮で、帰省せず居残りを決めた4人の少年たちのそれぞれを描く青春小説。
彼らが抱える問題と巻き起こる事件、明かされる秘密。後書きで作家自身が萩尾望都の「トーマの心臓」をやりたかったと述懐している通り、あの時分の少年が持つ特有の表裏のようなもの、そんなものを逆に溌剌としたキャラクターたちに託して実に爽やかな青春学園ものに仕上がっていると感じた。
寮という閉鎖的な空間で、それでも4人しかいないというシチュエーションがもう既にミステリーの舞台としては申し分ないし、彼らがなぜ帰省せず、残らなければならなかったのか、彼らにどんな事情があったのか、それを知りたいと思わせる登場人物たちの個性があるのだ。しかも季節は冬。春でも夏でもないこの季節特有の雰囲気も相俟って舞台がより際立つような、そんな仕掛けに満ちている。前述の後書きにもある通り、作家自身この作品に対する思いは様々あるようで確かに仰る通り後の作品のベースになったようなそんな感じだ。
ちなみに萩尾望都の「トーマの心臓」は僕が学生の頃に読んで当時頭が破裂するほどの衝撃を受けた作品のひとつだということを補足しておきます。
内容を理解するには別の知識が必要か
特になし。
読み易さについて
問題なし。
誰にでもお薦めできる内容か
女性が描く男子高校のしかも寮という内容で、男子高校出身の僕個人の感想を率直に言うと「こんなに爽やかじゃない」というのはまあ多少なりともあるにせよ、この物語の性質として彼らのようなキャラクターでしか成立し得なかったとも言えるし、そういう世界なんだと思えば特に気にはならない。一応付しておきます。
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