管理番号218
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最終更新日2020年8月12日
小説
13
とんび
重松清
昭和の親父「ヤス」さんの半生を追い、愛妻「美佐子」さんと、いずれ生まれる一人息子「アキラ」くんとの家族、父子の物語。
とんびという題名から察せられる通り、それは昭和のというよりもっとディープな下町感溢れる人情ものとして涙なしには読むことのできない絆の物語になっている。そしてもちろん方言で語られる言葉のマジックで、もうズルいとしか言い様のないお話と言っていいと思う。こうした人情ものというのは、もうこのご時世ではほとんど馴染みがなくなったし、下町という風景でさえ、もしかしたらレトロという言葉で片付けられてしまうような、郷愁のような響きさえある。そうした世界で「ヤス」さんが力強く前向きに家族のために生きることの素敵さ、暖かさのようなものをこれでもかと味わうことができるだろう。
父から子へ受け継がれていく思いだとか情だとか、単に絆という言葉で片付けられない、登場人物たちのそれぞれの思惑に打算のない優しさと切なさがあって、読みながらやっぱり涙を流してしまうようなそういう情景に満ちている。やりすぎだとか狙いすぎだとか、そういう感想もあるかもしれない。でもこれがこの世界の真実なんです。
内容を理解するには別の知識が必要か
特になし。
読み易さについて
問題なし。
誰にでもお薦めできる内容か
誰にでも楽しめる作品。いろいろひっくるめて「美しい」と感じずにはいられないだろうし、アレコレ考えずに、いや「自分はどうだろう」とか「自分の周りはどうだろう」とか結構考えちゃう物語かもしれないですね。
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