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最終更新日2020年8月12日
漫画
11
愛と呪い
ふみふみこ
自伝ではなく半自伝として、ただ第1巻の巻末にある作家自身の言葉を借りれば「どうしても描きたかった」狂気の世界、救いのない現実と見えない未来の狭間、実際に起こった社会問題を取り上げながら、破壊され苦しんでいく主人公「愛子」の半生を描いた衝撃の物語。全3巻。
率直に言ってしまえば、僕なんかはもう二度と読みたくない、そういう強さ。一言で「不幸」と片付けてしまえばどんなにも楽だろうか、そんなふうにも思ってしまう。性的虐待、誹謗中傷、自殺未遂、ここで語られる悪意についてはもはや言うべき言葉もないし、果たしてこれが本当に誰かの救済になるのかどうかも分からない。だが事実そうだとしても、この作品を描き上げ、そして世に問おうとしている作家の姿勢には本当に頭が下がる。作家自身の力強い咆哮のようなそういう物語なのだ。
人間とは何だろう、社会とは何だろう、などと普段まったく考えない僕ら一般人も、そういう哲学めいた命題に何がしかの答えを出したいと思うかもしれない。いやその結果こうであってほしいという願望でしかなかったとしても、それがまったく「正常」であることを認知して幾らかは安心出来るはずだ。
内容を理解するには別の知識が必要か
必要なし。
読み易さについて
問題なし。
誰にでもお薦めできる内容か
正直なところ、かなり読み手を選ぶ内容だとは思うし、そういう心境でどういう感想を持つかは人によって様々だろうと思う。問題作として括ってしまえばその通りなのかもしれないが、作家の描いた叫びを享受できる稀有な作品だとも言える。
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