管理番号14
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最終更新日2020年8月13日
小説
1
この世にたやすい仕事はない
津村記久子
極度のストレスで仕事を追われた主人公が、職安の担当員に紹介された奇妙で不思議でニッチな仕事の数々を淡々とこなしてく様を描いた作品。これだけ書くととてもじゃないが面白さの欠片もなさそうな内容なのに、この作家特有の観察と指摘によって驚天動地の大スペクタクルロマンに早変わりする。
心情をストレートに伝えるだとか実は何にも考えていないで適当にうった相槌だとか、そういう言葉のひとつひとつに「生活のある人間」の生々しさを感じてしまうのは、この作品の、というよりこの作家特有のセンスなんだろうと感じる。
登場人物たちは真摯に働いて生きようとしているはずなのに、読み手には奇妙で滑稽に映ってしまうこのズレを味わい、読みながら何度もニヤニヤするに違いない。表題の通り、この世にたやすい仕事なんかない、ひょっとすると、もしかしたら、あるいは、たやすい仕事があるのかもしれないが、作家はちゃんと「ない」と言い切っているのでこの小説のポイントは疑いようもなくそこですね。
内容を理解するには別の知識が必要か
必要なし。
読み易さについて
分かりやすく取っ付きやすい文章・内容。
誰にでもお薦めできる内容か
どんな人にもオススメできる。特に仕事に疲れてあるいはストレスを感じているような読み手には「なんでやねん」というある種のツッコミをもって楽しく朗らかに読める作品だと思う。
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最終更新日2020年11月9日
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