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最終更新日2020年8月12日
漫画
20
乱と灰色の世界
入江亜季
日本のどこかにある「灰町」の「漆間家」4人家族は全員が魔法使い。カラスを率いる職人のような佇まいの渋い父と魔力と色っぽさでは最強の母、肩で風を切りそうな高校生の長男に早く大人になりたい小学生の妹、この4人とその周囲を彩る様々な面々、この物語はそんな「魔法使い」たちが巻き起こす壮大な日常形冒険譚なのである。全7巻。
まあとにかく何でもアリのこのカオスな世界で、常識と非常識の合間を巧みに行き来しながら、信念めいた強固な世界観で物語をぐんぐん前へと進ませていく。登場するキャラクターが(外見や内面を問わず)それぞれ際立っている点も、この作品が持つ魅力と言えよう。もはやいい大人向けの煌びやかな少年(少女)漫画ではないかとさえ感じている。
ファンタジー作品というとその世界は完璧に架空のものであるわけだから、都合の良し悪しでしか語ることの出来ない危険性を孕んでもいる。そのためにルールや制限などを敢えて創造することになるわけだが、物語としてのクオリティだとかセンスだとかは、ほぼその部分に集約されると言っても過言ではない。翻って本作ではキャラクターや社会構造など至るところに的確な「縛り」を設けながら、アイデアは躊躇いなく自由に表現しており、その隙の無さには正直なところかなり参ってしまったのだった。
おそらくなのだが、作家自身の漫画的来歴をもって「好きなものを放り込んで煮詰めました」というような作品なんだと思う。その上で今日の漫画界の原初とも言える「トキワ荘」もしかしたら「二十四年組」世代へのリスペクト感をヒシヒシと感じてしまうのは、きっと僕だけではないはずだ。
内容を理解するには別の知識が必要か
特になし。
読み易さについて
問題なし。
誰にでもお薦めできる内容か
読む人を選ばず誰にでも楽しめる。
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