皐月文庫

論理と感性は相反しない

管理番号328
最新(1週間以内)
最終更新日2020年8月12日
小説 18

論理と感性は相反しない

山崎ナオコーラ

難しい言葉でお茶を濁すような真似はせず、出来るだけシンプルに平易いな言葉を使って優しい文章を書きたい、的なスタンスの作家が送る一見して「何なんだこの小説は」という感じの作品。作家による真っ当な「小説」への破壊活動。それも思想犯というより愉快犯による犯行とでもいうような。

ああもう分かる、のめり込むくらいの、底のない沼というより水溜りくらいの面積で簡単にハマってしまう感覚。一読して早速「わかった、私はこの作家のことが好きなんだ」と思う読み手は多いんじゃなかろうか。距離感が妙に近いのは前述のスタンスも影響しているのかもしれないが、そんな具合で頭の後ろからくる視線に気付いて振り返ると、「近っ!」という感じで作家の(見たことない)顔があるような。うん、…分からん。

一応「神田川」さんと「真野」くんという主要な登場人物がおり、彼らと彼らの周囲にある細やかなコミュニティの、実に細やかな出来事を細切れにして脈絡なくつまみ上げたような形になっている。詳細に書いておきながら「え?」という感じであっさりと終止符を打ったり、「は?」という感じで唐突に始まった物語は「うっ」という感じで得体の知れない示唆のようなものを残していく。

これはもしかしたら作家という芸術家の、頭の中にある「論理」と「感性」を小説という形で象った一種の私小説なんでしょうか。

内容を理解するには別の知識が必要か

特になし。

読み易さについて

問題なし。

誰にでもお薦めできる内容か

「し、小説?」という感想もよく分かる。いやぁそれにしたって面白いですよ。「なるほどそうなってんのね」だとか、何か小説という芸術作品(というよりこの作家特有の)をもっと深く知るにはいい機会だと思って。

関連作品
最新(一ヶ月以内)
最終更新日2020年11月9日
小説 10

夏光

乾ルカ

小説 13

とんび

重松清

小説 27

高架線

滝口悠生

小説 5

アサッテの人

諏訪哲史

漫画 28

空電の姫君

冬目景

漫画 14

銃座のウルナ

伊図透