皐月文庫

とにかくうちに帰ります

管理番号34
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最終更新日2020年8月13日
小説 2

とにかくうちに帰ります

津村記久子

表題の通りとにかくウチに帰りたいのだ。豪雨だろうが何だろうが、帰巣本能に従って帰るためのストーリー。

あらかじめ約束されたかのようなタイムラインで進行していくごくごく日常のありふれたお話。しかしそこはこの作家なので一筋縄ではいかない、どんな石ころにだって宇宙を与えてしまう観察力で壮大な物語に仕上がっている。不意に現れる名前、城之内さんは…、ファン・カルロス何とかは…、この絶妙な仕掛けに例え様のない生々しさがある。まるで今もすぐ隣で息をしていそうなそういう感覚。

ちなみに読了後ツイッターで呟いた率直な感想が多分一番分かりやすい、曰く「征服も救済もなく、罪も罰もなく、劇的な生も死もないごく普遍的な日常をそういった振幅の激しいドラマと同じ熱量で綴られている。とにかく観察の作家だと。人間が好きなのだと思う。面白い。そして大好物だ。この作家に出会えて良かったよ、本当に。」

内容を理解するには別の知識が必要か

特になし。

読み易さについて

人間の何気ない行動のひとつひとつに焦点を当てているので巨視的な立場で味わいたいような読み手には「細かいなぁ」と感じるかもしれない。

誰にでもお薦めできる内容か

え、そこまで?という観察の成果というか登場人物たちの個性的な肉付けにきっと感動するはず。

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