皐月文庫

自伝

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最終更新日2020年8月12日
漫画 11

愛と呪い

ふみふみこ

自伝ではなく半自伝として、ただ第1巻の巻末にある作家自身の言葉を借りれば「どうしても描きたかった」狂気の世界、救いのない現実と見えない未来の狭間、実際に起こった社会問題を取り上げながら、破壊され苦しんでいく主人公「愛子」の半生を描いた衝撃の物語。全3巻。

率直に言ってしまえば、僕なんかはもう二度と読みたくない、そういう強さ。一言で「不幸」と片付けてしまえばどんなにも楽だろうか、そんなふうにも思ってしまう。性的虐待、誹謗中傷、自殺未遂、ここで語られる悪意についてはもはや言うべき言葉もないし、果たしてこれが本当に誰かの救済になるのかどうかも分からない。だが事実そうだとしても、この作品を描き上げ、そして世に問おうとしている作家の姿勢には本当に頭が下がる。作家自身の力強い咆哮のようなそういう物語なのだ。

人間とは何だろう、社会とは何だろう、などと普段まったく考えない僕ら一般人も、そういう哲学めいた命題に何がしかの答えを出したいと思うかもしれない。いやその結果こうであってほしいという願望でしかなかったとしても、それがまったく「正常」であることを認知して幾らかは安心出来るはずだ。

漫画 5

岡崎に捧ぐ

山本さほ

とぼけたようなコミカルな絵柄で描かれる笑いあり涙ありの自伝的物語。全5巻。

小学4年生からの20年間をエキセントリックな唯一無二の親友「岡崎さん」との関係を軸に語られる、言うなれば平成版「ちびまるこちゃん」なんだと思う。主人公の「山本さん」はオタクに抵抗があるくせにその実オタク気質で、幼いながらも常識人としての立ち居振る舞いを信条としながら、異質な親友「岡崎さん」に喜んで翻弄されていく。言うなれば「山本さん」はツッコミで「岡崎さん」はボケであり、この点においては「ちびまるこちゃん」とは真逆の展開になっている。しかし、だからこそ同世代或いはそれ以上の大人たちにも受け入れやすい構成になっているのではないだろうか。

実のところ、彼女彼らの世代であったような「たまごっち」も「プレイステーション」もほとんど思い入れがないので歯痒さすら感じてしまうのだが、世代がどうの時代がどうのという前に、誰もが持っている思い出の「ボケ」を呼び覚ますには最良の一冊だと思います。