皐月文庫

入江喜和

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最終更新日2020年8月12日
漫画 16

たそがれたかこ

入江喜和

わけもなくフレンドリーな人が苦手なバツイチ45歳の「たかこ」さんは、挙動の怪しくなってきた自由な母とアパートに暮らしている。食堂のパート、母の世話、夕飯の買い出し、体力の衰え、不意に流れる涙、一人酒、etc…。そんな下り坂の人生で出会った怪しい男とラジオの声。45歳という(別の意味での)微妙なお年頃を描いた中年による中年のための物語。全10巻。

恋をしたっていいじゃないか、コラーゲンがいつの間にか増えてたっていいじゃないか、何かを始めるのに年齢なんか関係ねー、…同年代の彼ら彼女らに送るエール、と言ってしまえば一言で片付けられるのだが、この物語はそんなに生易しい筋書きではないし、「中年テンプレート」に必死に抗おうとするアレコレを描いているわけでもない。この物語の前後にも人生はあって、長い長い人生という時間の中年期を切り取ったようなそういう小市民的な悲喜交々を描いているに過ぎないのだ。だからこそ男女関係なく「たかこ」さんに寄り添える、そんなふうに思えて仕方がない。女性向けの漫画誌に掲載されていたとはいえ、同年代の「おっさん」にも間違いなく刺さるんじゃないかなぁ。

娘の「一花」ちゃんや別れた元旦那、そして気になる「向こう側」の彼二人など、ちょうどいい距離感、ちょうどいい時間の掛け方でゆっくりと波が立っていく。若者らしさはないかもしれないが、突き放すような老成感もない、このふわふわとした「黄昏時」を楽しむ最良の一冊として。