皐月文庫

バジリコ

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最終更新日2020年8月12日
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漫画ノート

いしかわじゅん

伝説のTV番組、BSマンガ夜話(NHK/1996-2009)にてその歯に衣着せぬ物言いで有名だった漫画家いしかわじゅんの漫画評論集。この他にも同じテーマで書かれた書籍が数冊ある。

確か僕が中学生の頃だったと思うが「マンガ基礎テクニック講座」という書籍で作家いしかわじゅんへのインタビューを読んでいたこともあり、件の番組内でも手塚治虫以前以後の黎明期から当時の最新作までを網羅した漫画の歴史、漫画における表現のあり方、細かい技法、あるいはその系譜など、ただただ漫画そのものへの愛をもって語る姿に随分感銘を受けたのだった。

さて本作でもやはりその愛の掛け方は変わらない。ここで紹介されている漫画は全部で約170作品。時には漫画界への嘆きやそれに近しい指摘もあれば、漫画や漫画家に対する注文、赤ペン先生のようなツッコミ、そういうものすべてをひっくるめて興味深く読めるはずだ。

小説などの文芸作品ももちろんそうなのだが、漫画はより強く「商品」でなければならないというジレンマに晒されていると感じる。売れる売れないのキワに立たされながら、なぜこれほどまでに多様化し立派な文化足り得たのか、その答えを知るためにも本書は最適だろう。